アリエッタ～そよ風の歌～

昨日は立春でしたね。

この季節になると、自然に口ずさむ歌があります。
「早春賦」という歌です。

１．春は名のみの　風の寒さや
　　谷の鶯　歌は思えど
　　時にあらずと　声も立てず
　　時にあらずと　声も立てず

２．氷解け去り　葦は角ぐむ
　　さては時ぞと　思うあやにく
　　今日もきのうも　雪の空
　　今日もきのうも　雪の空

３．春と聞かねば　知らでありしを
　　聞けば急かるる　胸の思を
　　いかにせよとの　この頃か
　　いかにせよとの　この頃か

皆さんよくご存知の唱歌ですが、いかにも「春」を思わせる軽やかな三拍子と共に流れるメロディーのなんと美しいことか。
そしてまた、その歌詞が好きなんです。

けれども、その歌詞のどんなところが好き？
そう聞かれると　言葉につまってしまいます。
どう表現したら伝わるのか・・・心の感じ方を言葉にするのって難しいです。

そんな私の心を知ったかのようなお便りが、立春の昨日、運ばれてきたのでした。


「立春」という言葉を聞けば、

忽ちに様々な想いが胸の中を去来する。

そして、他の節季の到来の時と同じように、

この節季にも、決まって思い起こされる歌がある。

それは、「早春賦」…

特に、この三番の歌詞は

　春と聞かねば　知らでありしを

　聞けば急かるる　胸の想いを

　いかにせよとの　この頃か

　いかにせよとの　この頃か

あなたの優しい声を聞いてしまったばっかりに、

どうしようもなく、心が昂ぶってしまう…

この血潮の滾りを、一体あなたはどうしてくれるのですか！

と、与謝野晶子は叫ぶ！

いや、勿論この歌の作詞は晶子ではない。

晶子ではないが、彼女の想いを思い起こさずには

いられないほどの熱さをもった歌である。


これから、少しずつ少しずつ春が近付いて来る。

春が一歩つ近づくごとに、森羅万象が皮一枚ずつ膨らんで、

硬く覆い尽くしていた冬の鎧のハゼがポロリ…ポロリ…と零れていく。

そして、その隙間から明るい光が漏れてくる。


そうなんです！ポイントは三番の歌詞なんです。
一番二番は、春とは名ばかりの　まだまだ寒い日々である事を描写しているだけのようですのに、三番の歌詞になって、突然心が揺れ出して、「聞けば急かるる胸の思いを」だとか「いかにせよとのこの頃か」だなんて、まるで“春”が“恋人”でもあるかのようにオーバーに訴えるんですから、歌っていても　ドキドキしてくるんです。

春よこい、早くこい♪なんて歌ってるミーちゃんの童謡とちがって、大人の想いを感じるから、きっとこの歌が好きなんです。
「与謝野晶子」と言い切ったところがまた　とても分かりやすいでしょう。
ほんと、まさにその通り！って感じ。

＞春が一歩つ近づくごとに、森羅万象が皮一枚ずつ膨らんで、

＞硬く覆い尽くしていた冬の鎧のハゼがポロリ…ポロリ…と零れていく。

そんな様を想像して眠れなくなった　立春の夜でした。。。



今日のおやつ・・・そば饅頭