2011年10月25日

佐用姫猿笛に泣く夜

「佐用姫猿笛(さよひめさるほ)」を歌うと、切なくて泣けてきます。
ディズニー映画の「ポカホンタス」を観たからか、今夜は「佐用姫」と「狭手彦」の悲恋に思いを馳せてしまいました。

「佐用姫猿笛」は、伊万里讃歌の第三章のタイトルです。
伊万里讃歌が作られて、今年は20周年。
それを記念して、今年末の市民音楽祭では全八章を歌う事になりました。
そして、我が合唱団の担当が、三章の「佐用姫猿笛」だったのです。

呼んでも呼んでも帰らない 愛しい狭手彦は帰らない

佐用姫は小舟を漕ぎ出して 追っても 追っても 行ってしまう

五色の衣に身を伏して 佐用姫の舟が 流れ着く。

浦ノ崎に梨の花のように 白く 綺麗な 死に顔で。。。

それでも 狭手彦恋しいと 姫はやしろを抜けだして

おそあきには ひれを ふるそうな。

何も答えぬ 沖合に 

猿が憐れと ゆすの枝 猿笛を吹いて なぐさめる。

泣いても 泣いても 泣ききれぬ 千年経っても まだ涙。

かぶと蟹さえ 前後ろ 生涯夫婦で 連れ添うのに

伊万里の娘が 泣く夜は 姫も一緒に 泣くそうな。

猿も 月夜に 笛ふいて 人の別れを むぞうげな

昔も今も むぞうげな。

恋の別れを 泣くそうな。


松浦佐用姫の伝説は、日本三大悲恋伝説の一つと言われるほどの 悲恋の物語です。
地域によって、また伝わる書物によって、少しずつ内容が違うようです。
伊万里に伝わるお話では、「6世紀ごろ、朝鮮半島へ出征していった恋人の大伴狭手彦(おおとものさでひこ)を追って、小舟で船出した佐代姫の舟が、嵐にあって山代町浦之崎に流れ着きました。そのときはもう佐用姫は亡くなっていたので、浦之崎の人びとは墓をつくって大切におまつりした」ということです。
狭手彦との別れを悲しむあまり、七日七晩泣き続け、最後には石になってしまった・・・という形もあるようで、これもまた悲しすぎる結末です。

いずれにしても、この「佐用姫猿笛」の歌詞には、愛する人との別れを悲しむ佐用姫の辛い思いが満載で、「泣いても泣いても 泣ききれぬ。 千年経っても まだ涙。」を歌うときなんて、「十年や百年じゃない、千年ですよ!千年sign03」と、叫んでしまうの^^;

「伊万里の娘が泣く夜は 姫も一緒に泣くそうな」。。。現代になっても、伊万里の娘さんが恋に泣く夜は、佐用姫さんも一緒に泣いている・・・なんて、あぁ、どんなにか佐用姫さんの悲しみが深かったか・・・どんなにか狭手彦を愛していたか・・・考えただけで心が震えるほど泣けてきますよweep

「猿笛(さるほ)」というのは、イスノキになる中が空洞の実のようなもの(樹皮に巣食う微生物の作用によっておきる木の皮膚病のようなものらしい)で、吹くと笛のような音がする事から、猿が吹く笛という事で「猿笛」と呼ばるようです。

「猿も月夜に笛ふいて、人の別れをむぞうげ(※むぞうげ→かわいそう)な、昔も今もむぞうげな、恋の別れを泣くそうな」に至っては、猿さえも 千年におよぶ佐用姫の悲しみを思い、月夜に笛をふいて悼むというのですから・・・ここまできたら、もう号泣ですよcrying

今夜は、一日の始まりが「ポカホンタス」で、松浦佐用姫伝説に終わる。いずれも 悲しくも美しい伝説の、想像の世界に浸れば浸るほどに悲しくて涙涙の夜となりました。
そういう夜も あるよね。
シクシク(T_T)






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Posted by chil-chil  at 00:32 │Comments(2)愛する歌

この記事へのコメント
浦之崎の住民として 今 松浦佐用姫の伝説がクローズアップされるのは嬉しいです!
小さい頃遊んでいた佐用姫神社は近くの病院の敷地に移転して
ちょっと残念
ロマンが薄れる?気がしますので
地域住民としては佐用川の風景など
語り継いで守って生きたいですよね
Posted by 樹の精 at 2011年10月28日 10:23
樹の精さん♪

コメント入れてて下さったのですね。ありがとうございます!!
いつだったか樹の精さんも記事にされてましたね。地域の方が大切に語り継いでこられたお陰で、私達もロマンに浸ることができます。
三大悲恋伝説は、「羽衣物語」「竹取物語」「松浦佐用姫伝説」だそうですが、唯一 松浦佐用姫だけが史実に基づいているというのもまた心惹かれる所以ですよね。
Posted by chil-chilchil-chil at 2011年11月01日 00:52
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